どこかで誰かが…
「あぶねー!頼んでおかなくて正解。実は今あんま金持ってねーんだ俺。」

「いいよ。今ある全財産出してくれれば。」

「ちっと待てよぉ!おまえら、あんま食うなよ!」


ゆっこと高木のやりとりを聞きながら、

(息がぴったりだなぁ。)

と感心する佳菜子は、

(あれ?私と望月くんは邪魔なんじゃない?)

とも感じさせられ、

先に来てた高木と望月が、向かい合った席に座っていたので、
自分は望月の隣りに座るつもりでいた。

それなのに、

「あのさ、モッチー、」

ゆっこが望月の隣りに座ってしまい、

(あれ?)

ふと高木の顔を見ると、

「何つっ立ってんの?座れば。」

「あ、うん。(なんか、ごめん…)」


そう本人に言われてしまえば、素直に隣りに座るしかなかった。


お好み焼きを焼く係は、常に望月とゆっこで、

あーだこーだと注文をつける高木に、ゆっこも負けじと言い返す。


そんな二人の様子を、笑いながら

(高木の気持ち、ゆっこちゃん分かってるのかな?)

と、しまいには心配までする佳菜子。


「文句ばっか言ってないで、静かに食えよ。」

さすがの望月も参戦はじめた。


「なんだよモッチー!マズかったら俺、金出さねーよ。」

「じゃあ食うな!」

「ウソです。ごめんなさい。」

< 32 / 433 >

この作品をシェア

pagetop