どこかで誰かが…
その後のエピソード
当時のゆっこは…

高木の気持ちを考えて、
両腕を振って喜ぶことはできなくても、

これでいつか、自分にもチャンスがあるのだと思えば、
素直に、佳菜子と大沢を応援することができていた。

なのに、

高木がいなくなった時…

“もし佳菜子とつきあってたら、転校なんてしなかったに違いない…そうすれば、いつだって、あのシュートフォームを観ることができたのに!”


想いは尽きないものだ。


平常心を保とうと頑張ってはみるものの、
その思いはチームプレーを乱し、
キャプテンの座も危ぶまれはじめることに…。


ゆっこに同情はするも、無責任だと影口をたたく部員もあらわれ、

すっきりしない状況に、夏の暑さが加わると、
その苛立ちの矛先は、佳菜子へと向けられた。


もちろん、そんなことで佳菜子は挫けはしない。


それまでだって、独りには慣れていたのだから。


ただ、どうせなら、
はじめから知らない方が良かったと、つくづく感じていた。


皆と居ることの楽しさや、
高木の思いと自分の気持ちを…


それでも、進みだした未来に逆らうことなく、強気な姿勢でいられるのには、
やはり、大沢の存在があったからであろう。


「岡島もさ、新しい男、探しゃあいーのになぁ。」


清瀬は簡単に言うが、
こればかりは、どうにもできなかった。

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