ひとりじゃないから
「俺、さみしい」
「え?」
先生は、椅子から立って、あたしの頭を撫でた。
「心なかなか開いてくれなかった安藤が、せっかく開いてくれたのに、俺を頼ってくれないから。」
先生の顔を見上げると、悲しそうに笑った。
「なあ、俺はお前から逃げねえよ?」
ねえ、お母さん。
世の中、お母さんがいなければ、意味ないって本気で思ってた。
けど、けど。
お母さん、あたし、あたし。
先生がいればもお少し、生きてみようって思えそうだよ。