人はそれを恋と呼ぶ


「いいの。男子がいなかったら、あたしのストレスも少しは軽くなるんだから。誰かに好かれるのも、妬まれるのもたくさんなの!」


相変わらず、恋愛ざたには縁のないあたし。


誰かに告白されたって、あたしが心を動かされる人はいない。


そう、きっと彼以外には。


「馬鹿ね。何にもしてないのに諦めるなんて」


あたしの心を見透かした様に舞は言って、降り積もる雪道を慎重に進んだ。


中学最後の冬休みが近い、なんでもない一日の、放課後。


もうどのくらい、彼の声を聞いてないだろう。


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