人はそれを恋と呼ぶ


俺は黙って頷いた。


「なんで、植田が頼んだからってそんなこと引き受けたんだよ…」


俺だってよくわかんねぇ。


「俺さ、アイツの事知らなかったんだ。同じクラスだって事も、顔も。
だから申し訳ないって気持ちが先にたって。なんか、断れなかった」

「げ。マジで?お前…やっぱ男としてヤバいぞ。あんな目立つのに」


隼人は小さくため息をついて、続けた。


「まあ、約束は夏休み入るまでなんだろ?ボロがでないように頑張るんだな。俺もフォローしてやるし。植田のファンのやっかみとかは気をつけろよ」


とりあえず、夏休みに入るまでの約2ヶ月、俺は植田の『彼氏』らしい。


…俺、付き合った事なんてないんだけどな。


先が思いやられて、俺の足取りは重かった。


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