パパはアイドル♪ ~奈桜クンの憂鬱~
神川の声が変に落ち着いた事に、奈桜はすぐには気付かなかった。


「事務所がNOって言ってるから直談判してるんでしょうが。こっちもさぁ、このドラマに賭けてるわけよ。どうしても奈桜が欲しいわけ。奈桜が一言『出たい』って言ってくれれば、事務所も落ちないわけには行かないでしょ?ギャラも弾むし、他に一緒に事務所の無名タレントを使ってやってもいい」


上から物を言う態度。
力のある人とはどうして自分の事を勘違いしがちなんだろう。ほんとは何にも持ってはいないのに。


「いやぁ、オレにはそんな権限ないですよ。与えられた仕事を一生懸命やってるだけで。仕事に口出し出来る立ち位置にいないですから」


やんわりとまた断る。
もちろん、もめたくない。


「絶対、お前がいるんだよ」


ちょっと脅すような声が奈桜の耳に響く。


「前にPV撮影の時にオレが連れてた女の子、覚えてるか?」


神川の不敵な笑みは奈桜には見えない。
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