パパはアイドル♪ ～奈桜ｸﾝの憂鬱～

「じゃあ、いつ？」


子供ならやっぱりこう聞くだろう。


「え…、いつ？かな？」


「パパ…、奈桜くんって知ってる？」


思わず奈桜がスポーツドリンクを吹き出した。


「奈桜…くん!?」


声が思いっきり引っくり返る。
最近はほんとよく驚かされる。
奈桜は慌てて口の周りを拭いながら必死で冷静になろうとする。


「パパ、大丈夫？行儀悪いよ。…あのね、奈桜くんって1番カワイイんだって。パパと同じ名前だよね？でも、パパは可愛くないもんね」


奈桜はちょっとガッカリした顔になる。
いくら女の子たちにキャーキャー言われても、1番好きな桜に好かれなければ意味がない。


「パパ…、ブサイクか？」


すっかりしょげた奈桜は地面を見つめている。


「ブサイクな訳ないよ。パパはカッコイイの！いっちばーん！カッコイイの！カワイイのとは違うの」


奈桜の方をしっかり見て、力強く言う。


「もぉ～。さくらぁ。大好き！」


一瞬で機嫌の直った奈桜がめちゃくちゃ嬉しそうに桜を強く抱きしめた。