パパはアイドル♪ ~奈桜クンの憂鬱~
「行きますか?」


心が大きく伸びをしながら答える。


「じゃあさ、焼肉行かない?オレ、いい店知ってんだよね」


奏がテンション上がり気味で目をキラキラさせて言う。
これで、もう店は決まったようなもの。


「どうせお前のおじさんの店だろ?」


心がすかさず突っ込む。


「おじさんの店かよ?」


泉が笑った。


「笑うなよ。めちゃくちゃ美味いんだから。おじさんさ、オレ達の為に奥にVIPルーム、作ってくれてさ。いつ来ても大丈夫だし、お忍びで彼女と来てもバレないようになってる」


奏がドヤ顔で得意げに言う。


「従業員やおじさんにバレるだろ」


心がまた突っ込んだ。


「おじさんの口はハマグリより固いんだよ」


「分かった、分かった。奏のおじさんの店にしようよ。めっちゃ腹減ってるし、美味い肉、食べさせてもらおう」


泉が2人の会話に割って入り、いつものように丸く納める。


「ちゃんと電話入れとけよ。夜中なんだから。あ……着いたら先にデザートもらえるか聞いといて。疲れると甘いもんが食いたくなるんだよなぁ」


「出た。Zのスイーツ王子♪」


茶化した奏を、心が殴る振りをして見せた。
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