愛のため息
「ありきたりだなんて…そんなことないよ。

嬉しい。ありがとう。

本当…嬉し…い」




タカちゃんのメッセージ付きの時計はこれひとつ。
世界にひとつしかないんだよ。




嬉しくてボロボロと涙が零れた。




ミイの手にある時計をタカちゃんが手に取る。




『このペアウォッチ“2人の絆”って名前があるんだって。

絆ってさ断つことの出来ない結び付きって意味があるよね。

俺たちも、そんな絆で結ばれてたいなって意味を込めてミイに贈るよ』





「タカちゃ…ん…ひっく…あり…がとッ。大事にするね!」





泣き笑いで言うと、タカちゃんは『すごい顔だね』って苦笑しながら、ミイの左の手首に時計を付けてくれた。




『俺の代わりって、ちょっとくさい台詞かな?でもそう思ってくれると嬉しい』



はにかみながらそんなことを言うから。




「う、うんっ!!うわぁーーんっ!!」




みっともないほど、子供みたいな大泣きをしてしまった。




タカちゃんはすごい泣きっぷりのミイに大慌てして。



泣き止むまでお互いちょっと大変だったけど、
きっと忘れられない、いい思い出になるよね?





タカちゃんが付けてくれたこの時計も…巻きながらタカちゃんがくれた言葉も。







一生忘れられない大切な宝物になった。







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