愛のため息
曖昧にごまかされた上に、ミイは視線をマスターへ向け、マスターもそれに対して優しく微笑んでいて。




意味深な2人のやり取りが、面白くないと感じた。




すると、




『大島さんがここに連れてきた女性は貴女だけですと教えて差し上げてたんですよ』




柔らかい笑みを浮かべたままマスターは俺にそう言っておとしたてのコーヒーを置いた。




『マスターずるいです!さっき2人だけの秘密にしましょうって言ってたじゃないですか』




ミイが抗議の声をあげると、




『黙ってると、大事な常連さんを失いかねなかったので』




マスタはーは笑いながらそう言って俺を見る。




その言葉の意味するもの。




それは、俺がミイとマスターのやり取りに妬いたことが、もろバレだったことを意味している。





『常・・・?それどういう意味ですか?』




ミイにはマスターの言ったことがわからなかったらしく不思議そうに聞き返していたけれど。





「ミイ、なんでもないから」




親の年齢くらいのマスターに嫉妬したなんて、ミイに知られるのは恥ずかしすぎるので、
ミイがこれ以上詮索しないようにそう告げて、





「・・・そんなことで来なくなったりしませんよ」




マスターには、きっちりと否定しておいた。





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