赤い目
*Ⅰ*
そこは暗闇だった。

ただの暗闇ではなく、一筋の光も無い本当の暗闇だった。

「うぅ・・・・・」

何かが泣いている。もはや人間ではなくなり一種の獣と化したなにかがそこにいたのだ。

「助けて」

一応人間のようだが声も嗄れ果てていた。

「助けてったら!」

いくら叫んでも無駄だった。外に出られる扉さえ見えない。

「いやァァァァァァァァァァァアアアア!!!!!!!!!」



床に崩れこみ、力が抜けたその物体は屍となっていた。



その部屋は、何かの異臭が立ち込めていて吐き気を催すほどだった。
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