(KS)ハルカナセカイ


 風間が向かったのは課長のデスクだった。


 書類に目を通していた課長は、風間をちらりと見て用件を尋ねる。


 風間は勢い込んで捲し立てかけ、ぐっとそれを抑えると、ひとつ深呼吸をしてからゆっくりと話し出した。


「課長。
例の行方不明になってた三歳の子が死体で見つかった事件、子どもの父親もK銀行S支店の社員なんです」


 課長は、だからなんだと言うように視線で問い掛ける。
その視線に真っ向から受け立ち、風間は言葉を繋げた。


「調べには誰か行ってるんですか?
K銀行に」


 風間の言葉に課長は、噛んで含めるように間延びした声で言った。


「持地と小峰を行かせた。

なんだ、お前のヤマも繋がってるって言いたいのか?」


「だってこんな短期間に、同じ会社に勤めている者二人が争った末に死んで、もう一人は子どもが殺されて見つかるなんて、明らかにおかしいじゃないですか」


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