(KS)ハルカナセカイ


 目端に捉えたそれを脳が反射的に判断し、風間の注意を引いたのかもしれない。


 死因はそれぞれ、金田が頭部打撲による致死、佐藤が首吊り自殺と記載されていた。


 風間はボードの近くにいる者に声を掛け、事件の仔細を尋ねる。
声を掛けられた若手の刑事は他の担当事件が片付いたばかりらしく、提出する書類の作成を行っていた。


 丁度一息つきたい気分だったのか、嫌がる顔ひとつせずに事件の概要を教えてくれた。


「あぁ、そのヤマですか。
なんでも金田と佐藤が揉み合っているうちにバランスを崩した金田がひっくり返り、打ち所が悪く死亡。
そのあとに佐藤が自殺したと見られています。
動機については調査中だそうですが……それが何か?」


 真剣な面持ちで概要を聴く風間に、少し首を傾げながら目をしぱしぱさせる。


 風間は開いたままの手帳にあるK銀行の文字を見つめほんの僅かな時間考え込んだかと思うと、教えてくれた刑事に礼をいい、とある机へと向かった。


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