(KS)ハルカナセカイ
三人が向かう前に、騒ぎを聞き付けた園長先生が小走りでやってきた。
50代くらいのこじんまりとした細身の女性なのだが、子どもたちからも人気があり、若いママさんたちの心の拠り所としても頼りにされている。
その園長に連れられ、和枝は応接室へと通された。
そこで陽平に連絡をとると、彼は仕事を調整して駆け付けた。
陽平が園に到着したときに繰り広げられた和枝の慟哭は凄まじく、却って陽平は冷静に園長と話をすることが出来た。
本来なら園の管理体制を追及するべきなのだろうが、何故か陽矢自ら迎えに来た人物にまとわりついたため、親戚と名乗った人物が言ったことを、ゆうこ先生は信用してしまったらしい。
和枝は終始、自分が一人の時間を欲さなければと己を責め続けていた。
そのため度々話を中断させなければならなかったが、そういうことだったらしい。
その後警察に連絡し、風間と羽田が担当にあたり『誘拐事件』として調査を行うことになった。