ずっと前から好きだった
親睦会
近くのお好み焼き屋まで
私たちは来ていた。
手慣れた手つきで
迅さんはお好み焼きを
ひっくり返していた
焼き上がるその音と
香りが空腹を刺激した。
「迅さん早く!」
「黙れよ克哉。
生で食うか?」
見下すように笑う迅さんが
なんだかとても
かっこよくみえた。
きっとクールな彼だからこそ
時々見せる笑顔の
ギャップが良いのだろう。
「華奈子が言えば
迅さん何も言えなくなりそ」
「え、あたし?」
かっちゃんは既に
さりげなく私を
華奈子
と呼んでいた。
「このバンドの主導権は
俺が握ってる」
「何言ってんの迅。
あんたお酒まわってる?」
堅い表情をしながら
珍しく冗談のような
場の和む事を言い出した
迅さんに、魅麗さんは
大爆笑していた。
「あの二人…」
耳元で低くて色気のある声
かっちゃんの声がした。