ずっと前から好きだった
その時聞こえた
低くて優しい声
「ごめん」
「そっか…
ありがとう飯島君」
走り去る足音が聞こえて
また辺りは
静まりかえった。
断ったんだ
ほっとする私の視界に
飯島がいた。
「盗み聞きとは
悪趣味だな」
制服のズボンのポケットに
手をいれながら
こちらに近づいてきた。
「盗み聞きじゃないし。
たまたま…
聞こえちゃっただけ」
「ふぅーん」
「…………誰だったの?」
「…知らない子」
「……………。」
「お前…後夜祭は?」
「え?あぁ…
抜けちゃった」
飯島は私の隣まできて
地面に座った。
なんだか
ものすごくドキドキする。
二人きりって
普段の教室での隣とは
雰囲気が違くって。