超モテ子の秘密
甘えたら――、
…自分で立っていられなくなる気がして。
だから、私は顔をつたうしずくを袖で拭い、和也君に作った笑顔を向けた。
「平気だって!私は大丈夫だから。和也君こそ濡れちゃったじゃん!」
すると、和也君は俯き、小さな声で言う。
「…先輩、無理しないでくださいよ。」
「だから、大丈夫っ」
私は言葉の途中で、和也君の腕に包まれていた。
「俺、もう先輩のそんな苦しい顔見てられません。何で苦しいのに無理に笑うんですか?」
「…か、和也君?」
私は戸惑っていたし、何よりもその言葉が胸に刺さり、早く和也君から離れたかった。
でも、引き離そうとしても、和也君は私を抱きしめる手をより強める。
「屋上でわかれた時も同じ顔してました。……そんなことしてたら、先輩の心が壊れちゃいますよ…。」
和也君の声はなぜか震えていた。