ツギハギ
「でね、そいつ覗いてたの!ねっ、考えられる?変だよね、絶対変だよね!?」
翌日、
昼過ぎまで寝ていた梓
深夜の事もあり
何もやる気が起きず
ダラダラと過ごしていた
だが
夕方に友人が訪ねてくると堰をきったように
昨夜の事を説明しだした
「ん~、酔っ払ってたとか?」
「酔っ払って、隣に響く程壁殴ったり
洗濯機殴ったりする?
なんか…なんて言うんだろ…そんなんじゃなくて…本当に気味が悪かったの!」
あまりにも人事のように流す友人に
梓も熱くなる。
「考えすぎ、梓は初一人暮らしで、少し不安になってるだけだって」
しかし、そう言われてしまえば
それ以上は何も言えなかった。
「じゃあね、また来るから」
夕食を食べたあと
若菜は時計を見て帰る支度をして
「…泊まっていかない?」
昨日の今日で不安だった梓は、引き止めようと
していた。
「ごめん、今日達也来るんだ」
達也とは若菜の彼氏。
流石に強引には引き止められない。
「そっか、ん、またね。引き止めてごめん」
梓がそう返せば若菜は苦笑して
「また明日来るよ。
携帯も音だしとく」
梓はこれ以上心配させれないと
笑いながら頷いた。
これが若菜と最後の挨拶になるとも知らないで。