嘘つき⑤【-sign-】
■大原 琴音side■



◇琴音side◇





――――「琴音ちゃん?」

恭平さんの低い優しい声でぼんやりしていた意識がゆっくり開ける。


「…申し訳ありませんわ。」



私は深く息をつく。本当に、こうして今冷静でいられる事が不思議でならない。

愁哉さんと、本当にこれで終わってしまった。

穴が空いたような喪失感は笑ってしまう位寂しくて、満足に恭平さんを見つめる事も出来ない。

「いや、…すごくかっこよかった」


そんな恭平さんの口調はいつものようにゆっくりと包み込むようで、その視線も全部、当たり前の様に一瞬で私を纏う。

どうして、あんな行動を取ったのかなんて分からない。ただ、どうしても抑えきれなかった。


「…駄目ですわね」


諦めきれない、それは私自身なのに。



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