世界を渡る四の天災
 大丈夫かな?等と思いながら、私は近くにいた女性に声をかけた。見れば煉瓦を積む作業をしているようだが、彼女の腕はプルプルと震え、足は今にも崩れそうな程危なっかしい。

「あのー…」
「!!?」
「あっ!危――」

 声が出るより先に体が動いていた。煉瓦と女性を軽量化、女性を素早く抱きかかえ、煉瓦はプカプカとその場に浮いている。

「だ、大丈夫ですか?」
「え、ええ―――ありがとう。」

 止華は自然に動いた自分の体に微かな違和感を覚えたが、直ぐに頭の中を切り替える。女性は止華の顔を見て顔を赤らめたり青くしたりしている。…私の顔に何か付いているかな?

「「あの―――」」

 …。

「「あ、其方から―――」」

 二度も台詞が被ってしまい思わずポカンとしてしまった。苦笑しながらも気を取り直して彼女の方に向き直る。


「あの…宜しければ手伝いましょうか?」
 女性はもう体力の限界、そう悟った止華は彼女の力になれないか、と思い訪ねる事にした。

 彼女は一瞬だけ悩む素振りをしたが、首を横に振った。
「いえ、結構です。それよりも、その…貴方は、帝国の方ですか…?」



 Q1:敵が掲げるシンボルカラーを全身に纏った少女は一般市民にどう映る?
 A:敵
 B:敵国の人間
 c:スパイ

 迂闊だった。そう言えば敵は黒と赤の旗を掲げていた筈だと知識が告げる。止華は苦笑しながら否定の意を告げると、彼女もそれ以上は深く聞き入って来なかった。良い人だ。


 本当は復興作業を手伝いたかったのだけれど、街中の皆があの女性のような反応をして一様に首を縦に振ってくれなかった。
「うぅ…やっぱ私信用無いのかなぁ……」

 ちょっと軽く凹んでいたその時、「ブラック・ハウンドさーん!」と叫ぶ声が聞こえた。誰だろう、ブラック・ハウンドって。でもブラックって付いてる辺り私っぽいなぁ…何て考えていると、どうやら本当に私の事だったらしい。私の姿を見るや否や、一瞬顔が引きつった兵士さんが私の所まで来た。
 何かお城で王様が待ってるんだって。鎧姿で面会しろって言われた。うぅ…アレ暑苦しいのにぃ…。
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