新アニオタ王子


初めて会う相手の腕に抱きついて

あたしはいじらしく

「久しぶり…会えなくて淋しかったんだよ?」と拗ねながら

それでも甘えてみせる。





大抵の客は

2ヶ月間の予約待ち期間を、あたしの方も楽しみにしていたのだと、勘違いして、これでテンションなんか軽く上がってしまう。




「何処に連れてってくれるの?」

猫なで声で聞いたあたしに

さっきまでキッチリした雰囲気を持っていたこのサトシという男もすぐに、だらしない目つきに変わる。


「マユちゃんは何処がいい?」


「サトシさんが連れてって
くれるなら…

どこでも嬉しいよ?」

甘い笑顔を浮かべたあたしに


サトシは喜んでタクシーをひろい


着いた先は


ビジネスホテル。


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