新アニオタ王子


誰もいない2LDKの部屋に一人帰る。

12階建のこのマンションに憧れて12階に部屋を借りた。

引越して二年。

まだ親と香月さんしか入った事が無い。

もう

ほとんど香月さんと私と二人だけのラブホみたいなもんだけど…

って言っても香月さんだって月に2回か3回くらいしか来ない。


寝室のダブルベッドは一人で寝るとお姫様みたいになった気分で気持ちいい。

気持ちが良いのに今日はなんだかやけに広く感じる。

ベッド脇のスタンドランプだけ点けて香月さんが使う灰皿を用意して


大好きな雑貨のカタログをめくりながら

インターホンが鳴るのを心待ちにする。





いつの間にかうとうとした頃


ピンポーンと突然鳴った大きなインターホンの音に

慌てて鍵をあけに行くと

『ごめん遅くなって』

少し疲れた顔をした香月さん。

時計を見るともう深夜の3時過ぎ。



「…お疲れ様こんな時間に
来てもらっちゃってごめんね。」

『いいよNo.1のマユの頼みだから』


そうNo.1の私だけに許される

わがまま。
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