新アニオタ王子
やっといい気分。
少し歩いた時
向かい側の交差点に
巨体で眼鏡に黄色のバンダナ
しかも…
リュックを背負ってる男が視界に入る。
まさかっ…
あいつ?!
違う道に出ようと考えたけど
青になった信号。
あいつが…歩いて来る。
あたしを見つけたあいつが
どんなに親しそうにあたしに声をかけて来るだろう。
そんなことを想像するだけで鳥肌が立つのに
あたしの瞳は確実に近づいて来るあいつを視界にとらえている。
すれ違いざま
声をかけられる。そう思ったのに…
あいつはあたしを…
あたしの事を完全スルーして横を通り過ぎて行った。
ちょっと
待て−−−−!!
おかしい。
おかしいよね?
いや
おかしいだろ?
あたしがあいつに気付いて
あいつがあたしに気付かないなんてっ‼
ハッキリ言ってありえない‼
いや、ありえちゃいけないっ‼
小さくなっていくあいつの後ろ姿を猛ダッシュで追いかける。