俺様☆姫様★王子様 2 【完】




――女が前を走り、それを男が追いかける。
後ろから男の腕に納まった女は、夕日をバックに向き合う。逆行によって主人公の二人のシルエットが浮かび上がって。
そのまま口づけを交わす。


『ラバコン』のラストシーンを思い出していた。



「なるほど。凄いね、あんな演出が出来る監督さん、ホント凄いよ!完璧キスしてると思ってたもん!」


テンション高く言ったあたしの頬っぺたを摘まむ。


「してて欲しかったのかよ」


「へっ?ひや、ほうりゃらい…けろ…」


そう言われてみればその通り。
冷静に考えて。


「………ヤら」


「だろ?」


ニヤリ。
漆黒の瞳が妖しく光る。

一度目を逢わせれば、瞬時に動きを封じ込めてしまう。

ドラキュラ伯爵のように。


その名称は、今の蓮にぴったりかもしれない。



それから薄く笑った唇を重ねられたのは、必然。


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