エレファント ロマンス
「お父さん、私ね……」


学校での出来事を、思い切って打ち明けてみようかと思った。


「うん?」


お父さんは箸を止め、優しく聞き返してくれる。


「私……」


もう五日も学校に行ってないの。


どうしても言い出せないでいるうちに、またケータイが鳴り始める。


「ごめん、由衣。あとで聞くから」


お父さんがケータイを開いた。


―――やっぱり言えない。


それには『血がつながっていないこと』以外の理由があった。




< 16 / 95 >

この作品をシェア

pagetop