アイシテルって言えなくて~大人女子と高校生の恋
「血だまりになった時
このまま血が全部出て死ぬんだって
覚悟したんだ……
でも・・・私まだ
言い残してることがあるって
まだ死ねないって……
音色のために伝えないといけないこと…
私が元気だったら
絶対このまま話さず…音色が大人になるまで…
でも・・・死の恐怖が………」



「音羽・・・・」



「ごめんなさい・・・・
やっぱ…言う……
音色は……あんたの子供だよ……
だからソックリなんだ……」



私は全身の血がすーっとひくのが
わかった。



「でも・・・誕生日・・・・」



「幸いなことにうちらは
東京だったから……あんたたちには
早産って言ってごまかした。
まだお義父さんもお義母さんも
私を嫁とは認めてなかったし…
累はかなりの早産で入院してるって
誤魔化していた……」



「そうか・・・・・
あの時・・・おまえ妊娠してたのか」



「生理が遅れてたから
あんたにも相談しようって思ってた。」



「俺・・・なんもしらないで・・・
なんてこと・・・・
どうして言ってくれなかった?」



「あの日絶対来るって
信じてたけど・・・・私は捨てられた
そう思った……死のうと思った……
だって私には甲斐が全てだったから…
一緒に歌って行こうって夢も
愛も全部失って……絶望した……」


音色ちゃんの寝顔が
甲斐の寝顔と重なった・・・・・
足がガクガク震えた・・・・・
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