携帯小説的恋
「順、何、玲に見とれてんだよ」

気が付くと、今度はあたしが月人君に睨まれてた。

「だ、だって、玲さんて、マノさんみたいに綺麗……」

ポカリと頭を殴られた。

「俺はお前しか見てねぇっていうのに、ムカツク奴だな」

「月人君、そういう嫉妬は醜いわよ」

マノさんに一蹴されて、月人君は真っ赤になって俯いた。

あたしは、そうっと月人君の手に手を伸ばす。

その手は、指が触れた瞬間に掴まれた。

「プッ、なんだ、レポートのまんまじゃない?」

その様子を、じっと見ていたマノさんが噴出した。

「え?」

「順ちゃんの、遊園地レポート」

月人君があたしを見て、唖然とた顔で呟いた。

「お前、ほんとに書いたのか?」

がっくりとうな垂れた月人君を見て、みんなも笑い出した。

「社内報が楽しみだね♪」

「な、し、社内報だぁ~」

あたしの書いたレポートの内容を、月人君が知る由もない。

でも、こんなにがっくりと意気消沈している月人君の姿を見て、きっと月人君は予感したんだと思った。

あたしのコメディレポートを。
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