【妖短】 カ ミ カ ク シ
「・・・・・・なら、探しようがねぇーだろ。誰も知らないんだろ?」

仁兄の言うとおりだった。
場所が判らなければ探しようがない。
だが、紗羅姉はふっ・・・と嫌な笑みを浮かべた。
昔からの経験上、危険な橋を渡る様な出来事をする前に浮かべる笑みだ。

「いや、大丈夫だ。さっき、言ったであろう?〝ジャの神〟だと。このジャとは〝蛇〟と書くんだ。この辺りで古い社は幾つもあるが、この話を教えてくれた奴が言うには一番目に付かない所らしい」

俺は嫌な汗を掻いていた。
人目につかず、古い社・・・・・・。
そんなのは俺の知る限りではここらでは一つしかない。が、あそこには良い思い出がない。
実を言えば、行きたくないのが本音だ。いや、決まった訳じゃないけど何となくそんな気がしているのもまた事実だったりして・・・・・・。

「場所は――――――――〝埜眞伺神社(ヤマシ)〟だ」

紗羅姉は尽く俺の希望を打ち砕いた。
この時、俺の心が複雑だった事は言う筈も無いだろう。

仕度を済まして、俺達は埜眞伺神社に向った。
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