【妖短】 カ ミ カ ク シ
「・・・・・・昔、ここらで飢饉が遭ったらしくてな、そこで年若い娘を生贄に捧げていたらしい。それも一月に一人づつ・・・・・・。それからここらでは天災等に見舞われた際にはそうやって生贄を捧げていたらしい」

「――――――――――――っ!!それって・・・・・・」

「あぁ、今現在の事件と同じだ。だが、この話には裏があるんだよ」

淡々とした口調で紗羅姉は再び話し始めた。

「それは、とある社の神に生贄を捧げ願いを叶えて貰うって事さ」

「願いを・・・・・・叶える?」

無意識の内に、俺は声が震えていた。
この時ばかりは一瞬、脳裏を過ぎった考えが違ってほしいと思いながらもそれに違いないと確信している自分がいた。

「そう・・・・・・。人々に忘れられし蛇の神、にな。今ではその社がどこにあるかなんて知る奴はいないらしいが・・・・・・強く願望すれば知れるらしい。勿論、邪な願いを持つ者だけだ」


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