恋の豪邸
『ご主人様、お忘れ物はございませんか?』
『つか俺の荷物全部用意したのお前だろ?』

時分のだけでなく俺の物まで全て用意したのは紛れもなくモモ自身なのに何故俺に改めて聞く。

『そうですが…まぁ一応』

学校に着くまでの車ん中ではモモは毎日笑顔で俺に話しかけて来る。俺はと言うと“あぁ”とか“そうか”とか気のない相槌をうち、更に機嫌が悪い時は“うっせぇ”なんて言ってしまう始末…だがそれでもモモは笑顔で話尽きる事なく食べ物の事、学校の事、テストの事、それから…俺の事、……色んな話をしてくる。


『行ってらっしゃいませ坊ちゃん、モモさん。』

バタン


学校に着き運転手が見送ったあと、俺らも学校に向かって歩いていく。ふと何か思い出したようにモモが俺を振り返った。


『ご主人様、今日も刺客やらファンやらには十分にお気をつけ下さい!まぁ何かあっても私がお守り致しますが…万一考えて…』

『はぁ………』


思わずため息が出た。
コイツは何も分かっていない。

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