愛し君へ…
第七章


***


長い、長い夢を見た。

ベッドから起き上がり、空を見上げた。




君と過ごした、あの日。
君と2人で見上げた空は、とても青く澄んでいて―――…





「なあ響、今日はきれいな青空だよ」





響が死んでから、もう5年がたつ。
あれからの俺は相変わらずだけど、少しづつ響を思い出にしてきている。


5年たった今、やっと立ち直れそうなんだ。



ザーッ…



今日は響の命日。
俺は今日、響のお墓に来ていた。

あの時と変わらず、響の大好きな薔薇の花束を持って。





「俺さ、笑えるようになったんだよ。
響の前でもちゃんと」



“大好きなあなたが、心からの笑顔で…笑えますように”



「響の好きだって言ってくれた笑顔で…近づけたかな?」



“あたし、竜の笑った顔が1番好きだよ”



俺の胸元には、まだ指輪の通ったネックレスがついている。


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