幕末〓冷血の鬼
「あらあら、どうしたのですか?浮かない顔をして?」


団子屋の婆さんが俺たちの様子に気づき団子屋から出てきた。


「婆さん。ここを女の子が通らなかったか?」


「ああ居たね。最初は、泣きそうな顔で団子屋の椅子に座ってたんだけどね。しばらくしたら、男の人に声をかけられてそのまま行っちまったよ」


婆さんの言葉を聞いて、平助は口をポカーンと開けた。


「それ、恋花ちゃんかな?だって知らない男の人について行くって……」


「あらあら、昼はありがとうございました。」


昼に団子を出してくれた娘が俺に頭をぺこりと下げた。


「さっき、あなたの連れがここに来たのよ。だけど、男の人と一緒に何処か行ってしまったわ。」
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