幕末〓冷血の鬼
「それに君が人を斬った時、一番傷つくのは土方さんだ。池田屋の変の後、君が部屋に籠もった時一番心配したのも土方さんだ。土方さんをこれ以上苦しめないでくれ。」


私が刀を持つ事で、土方さんが苦しんでしまうなら私は刀を持つ事が出来ない。


「わかりました。」


私がそう言うと山崎さんはホッとした顔をした。


「そんなに力になりたいなら、医術を学べば良いのではないか?そうすれば助かる隊士達が増えると思うが。」


山崎さんの提案に私は目を見開いた。


「そうですね!私、医術学びます。」


「頑張りな。無理に難しい事をするより自分が出来ることをした方が良いだろう。」

「はい。ありがとうございます。」


私がそう言って笑うと山崎さんは顔を赤らめた。


「いや……手当てありがとう。」


山崎さんはそれだけ言うと部屋に戻って行った。
< 218 / 627 >

この作品をシェア

pagetop