幕末〓冷血の鬼
「それはありえません。沖田さんは私に誰にも言うなと言いました。」


「あらわかっちゃった?本当はね、沖田さんが血を吐いてた所を偶然見ちゃったのよ。」


伊東さんはそう言ってクスッと笑った。


「でも恋花さん、あなた沖田さんの事……隊士達のことを本当に信頼しているのね。」


「あの人達は私を裏切らないだから私も信頼しているんです。とりあえず手を離して下さい。」


「本当に気が強いわね…。あなた、私と一緒に来ない?」


「何を言っているのですか?」


「あなたも気づいているでしょう?今隊士は近藤派と伊東派に分かれていることを。」


「………はい。」


「あなたが近藤派ってのは知っているわ。でも私はあなたが欲しいの。」


伊東さんはそう言って私の髪の先を触れてきた。
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