幕末〓冷血の鬼
「ごめんなさい。」


「今日は、お前が主役なんだ。外は冷えてるし戻るぞ。」


土方さんは、そう言って私の手を掴んだが私は、その場から動かなかった。


「土方さん、貴方は月が好きですか?」


私のいきなりの質問に驚いたらしく土方さんはただ私をジッと見ている。


「私は、月が嫌いです。人が何人死のうとも、どんなに苦しもうとも月は輝き続ける。まるで、人にどんな事が有っても世界が変わらないみたいで……」


私がそう言うと、土方さんは私に近づいてきた。


―――グイッ!


いきなり手を引っ張られ、気づくと私は土方さんの腕の中に居た。


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