幕末〓冷血の鬼
最初は戸惑っていたが優しく抱きしめると恋花さんは静かに泣き始めた。


次第に肩を震わせ咳込むほどに泣き、彼女がどれだけ我慢してきたのかがわかった。

しばらくすると泣き疲れたのか私の腕の中で小さな寝息をたてていた。


(彼女を守りたい。)


泣いて腫れた恋花さんの目元に労咳で細くなった指でそっと撫でた。


(私が労咳でなければ………刀を振るって貴女を守れるのに……。)


今の自分の非力さに頭にきた。


「恋花さん、私は貴女を守りたいです。」

たとえこの体が滅びようとも彼女を守りたいと思った。
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