【番外編】ご主人様は†ヴァンパイア†
「怜央……ちゃん……?」


血を凝視している俺を見て、茜が不安そうな声で言った。


茜の顔を見て、はっと我に帰る。



俺は……何を考えていたんだ? 


血が美味しそうだなんて、普通の人間が考えることじゃない。



これじゃまるで、変態親父が研究している〈バケモノ〉みたいじゃないか……


「な、何でもない。それより早く消毒しないと! ばい菌が入っちまうぞ」


「大丈夫だよ。それより早く行かないと学校に遅刻しちゃうよ」


「まだ大丈夫! ほら、あそこの公園に行って水で洗い流そう」



 俺は木々が鬱葱(うっそう)と生い茂った、斜め前にある公園を指差して言った。
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