君のそばに
別荘について、リビングと呼んでいいのか分からないほどの広さの部屋に行くと、そこには柚の姿があった。
柚は、でかいソファにドカッと座り込んで何やらリラックスモードに入っていた。
私と実春が部屋に入ったことに気が付いてないようだ。
それもそのはず。
柚は今朝車の中でしていたヘッドフォンをつけ、目をつむっていた。
「話、するんじゃないの?」
と、柚の様子を伺いながら実春が言った。
話というのは嘉賀くんに対する私の気持ちのこと…
あれから別荘に戻ってくるまで、私は実春にずっと話を聞いてもらっていたんだ。
別に私の気持ちなんて伝える必要はないかもしれないけど、柚は柚なりに私のことを色々と気にかけていてくれた。
それにあの”お願い”を私が聞き入れたことで柚は怒ってしまったんだ。
実春は
「その事をちゃんと柚に話さなきゃ、これからもずっとこのままだよ」
と弱きな私を叱った。
このままの状態が続く……
そんなの嫌だ。
柚とちゃんと話をしなきゃ。
私は意を決して柚が座るソファに歩み寄った。
私の心臓がドキドキ鳴り響いている…。クーラーが効いてる部屋にいるのに手から汗がにじみ出てくる。
柚を目の前に私は何故か緊張していた。
現在の状況をいうと、柚に私の気持ちを伝え、その返答を待っているところだ。
柚はソファに座ったまま鋭い目付きで私を見上げている。
こ、怖いんですけど………。
何か言ってよ…。
正に蛇と蛙状態…。
すると、その場に一緒にいた実春が沈黙を破った。