君への距離~クリスマスの奇跡~
ガラガラ
「いらっしゃい!でもまだ準備中で…」
かん吉が入り口のほうを振り返った。
「つーくん!!」
入ってきたのは翼だった。
「朝早くにすみません」
そう言って頭を下げた翼に紗香が駆け寄ってきて言った。
「寝てないんやろ?奥に杏ちゃんも寝とるから少し休みなさい」
翼の疲れた顔をみて紗香は優しく言った。
「翼、昨日は杏の大泣きぶりにびっくりしてなあ…頭ごなしに怒鳴ったりして悪かった!」
「ちょっと、あんた!…つーくん大丈夫やったぁ?叩かれたりしてない?」
そんな2人のやりとりが夫婦漫才みたいで、思わず翼に笑顔がもどった。
「杏ちゃんとこ行ってきます!」
「おう!あっ!!朝から変なことすんなよ」
ニヤニヤしながらいうかん吉をすかさず紗香がたしなめる。
「あんたはもう~!!つーくん気にしんくていいんよ?誰ものぞいたりしいへんから♪」
(紗香さんまで…)