王様と料理人
そう、実は前王様は現在行方知れずなのだ。

なんでも、譲位してすぐに旧友に会う旅に出たらしいのだが、誰もその旧友とやらを知らないとか。

…親子揃っていい加減な。

王家のDNAに腹を立てる。

「トーコ様、その件についてはラウル様より私が一任されております。日々努力をしておりますが、なかなか結果が伴わず…申し訳ありません。」

「あ。リュウさんが研究してくださってるんですか…。」

そうか。
それなら仕方ない。

「リュウさんだったら、必ず見つけてくださると信じてます。よろしくお願いします。」

ラウル王ならせっつかないといけない気がするが、リュウさんならばお任せしておいて問題ないだろうと思う。

ラウル王自身はともかく、部下の人達は優秀な人物ばかりなのだ。

「トーコちゃん、態度違い過ぎない?」

「気のせいです。」

ラウル王を黙らせ、リュウさんに向き直った。



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