王様と料理人
ラウル王に連れられて神殿の広間に入り込むが、そこは耳が痛くなるほどの静寂に包まれていた。

一種異様な雰囲気に気押され、思わず足を止めそうになる。

しかし、横に立つラウル王がそれを許さなかった。

「あと少し、ネ。」

広間の中程まで足を進めたところで、強烈な光が辺りに満ち満ちた。

「っ…!!」

目が眩み、咄嗟にラウル王の腕を強くつかむ。

「トーコちゃん。大丈夫だから目を開けてみて。」

ラウル王にうながされ、恐る恐る目を開けた。

「………黒い、ライオン?」

そう。

広間の中央、しかも宙に浮いた位置に1頭のライオンが居たのだ。

いや、宙に浮いてる時点でライオンじゃない。

そして黒い。

さらに、でかい。

それに…翼が生えている。

「な、何なのコレ…。」

「我が国の守護獣、ラウリエルですよ。」


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