宇宙少女観察記
宇宙少女





「またきたのか、青年。」



少女は振り返らずに応答した。




「またきたのか、じゃっねぇ!!なんだ青年って、俺はお前の担任で!ここは屋上であって、断じてお前の私物じゃない!」


少女は男に背を向けたまま、


何かを願うようにして空に向けて手を組み合わせていた。



「まぁ、落ち着け。青年よ。そうがなっていては早死にするぞ。」




「誰のせいだ!誰の!」



放課後の屋上。



校庭にて部活動に勤しむ生徒たちの声が遠く耳に届く。



実に穏やかな昼下がり。



青年の名は戸野内時雨(トノウチ シグレ)


少女の名は杜若綾麻(カキツバタ アヤメ)




これは、二人の織り成す物語の一部始終である。




< 1 / 31 >

この作品をシェア

pagetop