宇宙少女観察記
宇宙少女
「またきたのか、青年。」
少女は振り返らずに応答した。
「またきたのか、じゃっねぇ!!なんだ青年って、俺はお前の担任で!ここは屋上であって、断じてお前の私物じゃない!」
少女は男に背を向けたまま、
何かを願うようにして空に向けて手を組み合わせていた。
「まぁ、落ち着け。青年よ。そうがなっていては早死にするぞ。」
「誰のせいだ!誰の!」
放課後の屋上。
校庭にて部活動に勤しむ生徒たちの声が遠く耳に届く。
実に穏やかな昼下がり。
青年の名は戸野内時雨(トノウチ シグレ)
少女の名は杜若綾麻(カキツバタ アヤメ)
これは、二人の織り成す物語の一部始終である。