Tears story〜人魚姫の涙〜
「あーら。シオン君は気にしなくていいのよ? うちのバカ息子が悪いんだから」
おほほ、と笑い、口元に手を添えながら、片手で今もガクガクと。
器用だなぁと思いつつ、アリネと同じ事されてるゼンが憐れとも思う。
「…別に気にしてませんから。いつもの事ですし」
ホント。
別に気にしてないのに、なんで怒れるんだろう。
アリネも、この人も。
「――シオン君」
「はい?」
ズイッと、ゼンの母さんの顔が目の前にきて、俺は無意識に足を後ろに下げていた。
「とりあえずアリネちゃんとどっか行ってらっしゃい?」
…………。
……はいぃ?