黒猫-私は女王-

天宮の過去

２人は礼を言う。

「今からちょっと出かけて来るから」

西野課長は走って警視庁を出て行った。
部屋には天宮と伊井田しか居ない。

「あの、、、」

珈琲を飲む天宮に、突然話しかけてきた。

「天宮さんに相棒が居なかった訳を教えて下さい」

天宮は残り少ない珈琲を飲み干し、話し始めた。

「昔のパートナーは、白河仁。今から丁度一年前、２人で残業で夜遅いから彼が車で送ってくれる事になったの」

だんだんと天宮の表情がくもってゆく。

「でも、その途中で彼は殺されたゎ」

そう言葉を添えた。

「えっ、、、」

伊井田は目を真ん丸くしている。

「赤信号で停まってる時、突然車のドアを開けられて、私も彼も外に引っ張り出されたの。街灯が近くに無かったから相手の顔は見えなかったけど男４人だったゎ。私は一発殴られたんだけど、彼はボコボコに殴られて血だらけだったの。４人の男が去った後、彼は意識が朦朧（モウロウ）とする中、私にコレをくれたの」

悲しみに満ちた表情で、首にかかった赤い宝石の付いたネックレスを愛おしそうにそっと触れる。
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