─ Alice ?─



「白兎さん…死んじゃったの?


黒兎お兄さんをありすから
無理矢理とったのに、
白兎さんまでいなくなるの?



ありすを…ひとりぼっちにするの?」





'無理矢理とった'


きっとシロウサギさんたちが以前言っていた【 アリス剥奪の刑 】というやつだろう。


つまりこれは黒兎さんが捕まった後の記憶。



「ありすを…………



ひとりぼっちにしないって、
約束したのに…







嘘つき。」



涙は消えていた。
幼い私の目には悲しみではなく怒りが込められていた。




「白兎さん…起きてよ。
ねえ、ねえってば!!!
ありすとの約束守ってよ!!」



首を膝に乗せ、ペチペチと頬を叩く。
耳を引っ張ったり、目を無理矢理開けようとしたり。幼いなりに必死だった。



今思えば諦めていればよかった…─





『 ア リ ス ♪ 』


そうすれば今よりも平和だったかもしれない



「…あなた、だあれ?」


『フフ♪僕は 白 兎 。
君に呼ばれて出てきたんだ♪』


放っておけば、出逢わなくて済んだ


『私の名前はシロウサギ。
アリス、貴女が求めて、
私達はここにいるのです。』



どうして忘れていたのだろう。






二人を作り出してしまったのは
私なのに。

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