─ Alice ?─
『随分と待たせてしまったね。そんなに取り乱したりして…シロウサギに何かされたの?』
怖いほどの笑顔で私に一歩、また一歩近づいてくる。
『僕のアリスに何かされたら…たまらないからね。さあ、此方においで。』
何も恐れることはないんだよ、と言わんばかりの笑顔で此方に手を伸ばす。
『シロウサギ。僕に逆らわない方が身のためだよ。チェシャ猫のようになりたいのかい?君も、チェシャ猫のように
真っ赤に染まって、僕を喜ばせてくれるのかい?』
秋桜が揺れる。そして気がついた。
真っ赤な秋桜から滴る鮮やかな雫。
「あ───っ!!!黒兎さ、ん…チェシャ…猫に…───!!」
言葉が詰まる。
『チェシャ猫に、何をしたの?そう言いたいんだね?アリス。何をって、アリスは僕のだよ。って教えてあげただけだよ。』
「教えてあげただけ?じゃあ、その血は…秋桜から滴るその血は…───」
ポタリ ポタリと地面を濡らす。
『だって…アリスが僕を、僕だけを、見てくれないから。
アリス、君に名をあげたのも、居場所をあげたのも、感情をあげたのも全部全部ぜーんぶ、
僕なんだよ?』