─ Alice ?─
「──あっ!!」
思考に入りすぎていたのか、我に返ると見覚えのある大きな穴のある空き地にいた。
忘れはしない、チェシャ猫と一緒に落ちた穴。
そして遠くに見える階段は
実の母に落とされた階段だ。
「…なんで、此処にいるんだろう。」
不思議の国から一変、現実の世界へ戻ってきた。
あんなに戻りたかった世界なのに
何故、こんなに胸が苦しいのだろう。
「何もない。此処には私の欲しいものなんて──」
私の欲しいもの。
何が欲しかった?
愛情 ?
そんな甘ったるいものじゃなかった。
「そう。私は…私の欲しかったものは───」
握り潰されてもいい。
粉々に砕かれたっていい。
言葉じゃない。態度で示して欲しかった。
『愛してる』じゃ足りなかった。
そう、私は────
愛しすぎて、憎いほどに
アイサレたかった。