─ Alice ?─



思い出せる。


忘れてなんかいない。



「帽子屋さん……帽子屋さん。

貴方たちは、帽子屋さんの薔薇…アリスの、アリスたちの……血を、栄養液を、浴びて……吸い成長して……



あ、嗚呼……そう、そうよ、薔薇の御屋敷があって…

たしか、たしか…あの双子も、同じ御屋敷に……


あとは、あとは……私を……殺そうとして……蔓、蔓がっ…体に…血が、流れた…


でも、守ろうとして……くれた。



アメジストの瞳。漆黒の髪。


忘れたりしないわ…忘れたりしない。」




貴方のこと、忘れたりしない。


そして、貴方との約束も。



私は、私は




あの国を救わなくちゃいけないのよ。



あの国を、思い出さなくてはいけないのよ。



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