─ Alice ?─
「えっ!?!?」
「??なんだよ急に。」
今、誰かの声が
したような…
「……チェシャ猫、
じゃないよねえ。」
チェシャは敬語なんて
使わないし。
それに私に優しく
話かけないし。
「……置いてくぞ。」
ほんっと優しくない!!
「待ってよー!!」
***
「扉扉扉………扉。」
右も左も前も後ろも
ぐるっと回って
どこを見回しても、
扉、しかない。
しかも
「アケテ-」
「アリスダー」 「ネコガイル-」
「オカシアゲルヨー」 「イテテッ」
よく喋りますこと…
「……こういうことね。」
「……そういうことだ。」
あーこの扉
面倒くさいっ!!!
よく見渡すと
扉にはハートの柄や
薔薇の模様などが
描かれている。
お洒落な扉たちね。
『 ア リ ス 。』
「え!?」
また─
『 さあ、恐れないで 。」
不思議と
怖くはなかった。
ただ、体が勝手に
扉をアケテいた。
なんの飾り気もない
【 シロ 】の扉を。