茜空


 あたしたちは一旦駅前に出て、
北口のバスターミナルから、市内循環西廻りバスに乗った。



15分位バスに揺られて『水族館前』のバス停で降りると、もう海は目の前だ。



「うわー何なん?この寒さはっ。

 先輩ぃ、さっむいよぉ」



「鍛えてねーからだよ。

 ほれ、飲め」



和哉先輩は自販機であったかいココアを買って、サイドスローであたしに投げてくれた。



そして先輩はあたしの隣に来て、ブラックコーヒーの缶を開けてる。



なんか…ブラックコーヒーってだけで、先輩が大人に見えるの。



だってあたしは、コーヒーはミルクとお砂糖をたっぷり入れた、甘ーいのじゃないと飲めないんだもん。


『香澄はお子ちゃまだっけなー』


って笑われるけど、仕方ない。



飲めないもんは飲めないんだから。

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